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創作 帰りたい?   砂田あゆみ

 川面から土手の上に吹き上げてくる冬の冷たい風が、ジャンバーの襟元から体の芯まで遠慮会釈なく、入ってくる。加賀田幹夫は襟元を手で詰めて、夜勤明けの帰り道を急いだ。派遣社員の幹夫の寮となっているマンションは、小高い山を切り開き宅地造成された、一番上に建てられている。土手を下り脇道に入り、両側に住宅が建ち並んだ急な坂道を五分ばかり歩かなくては、帰り着かない。以前はそうでもなかったが、近頃は、坂道の傾斜がきつく感じて、登っていくのが億劫になっていた。
 
 今日も幹夫は、自分に気合を入れるように「よっし」と声を出し、途中に立ち寄ったマーケットの買い物袋を揺らしながら、マンションへの道を歩き出した。坂道を登りきり、住宅が途切れ、右の横道に入ると、三階建てのマンションが見える。いまは六棟だが、来年夏までには数棟建てられるとのうわさだ。建物が増えることに正比例して、正社員が幹夫のような派遣社員に代わっていくのだ。
 
 幹夫が玄関の戸を開けると、湿った冷たい空気意が頬にあたる。勿論「お帰り」の声をかけて迎えてくれる人はいない。部屋に上がり電気をつけ、下げて帰ってきた買い物袋をベッドの枕もとに置いた。近頃しきりにのどに渇きを覚える。幹夫は水道のところに行き、蛇口を開くと、ガラスコップに半分ほど注ぎいれ、一気に飲み干した。「ウー」思わず声が出た。頭の先から足の先まで冷気が走る。幹夫は着替えもせず、そのままベッドの布団の中にもぐりこんだ。しばらくして、布団の中から手を伸ばし、枕もとに置いていたビニールの買い物袋の中からおにぎりを取り出した一口食べたが、寝息とともに残りはベッドの下に落ちた。  (つづく)

写真幹夫は夜勤明け寒風の吹く土手道を帰ってくるDSCN1219_convert_20080721225718.jpg
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